墓石に刻まれている文字に関しては、経文や梵字のみが古くから使用されてきましたが、戦国時代には武士階級が法名や戒名を刻み、江戸時代末期になるとそれが庶民にまで広がりをみせ、現代では本名や俗名等も刻まれるようになったのです。
また、墓石に文字を刻む際、特別な決まりは設けられていないことから、好きな書体や文字を選ぶことが出来るのです。
一般的には、見た目のわかりやすさから楷書が好まれる傾向が高いです。
楷書以外にも、行書や草書、隷書やゴシックと言った種類もあります。
直筆文字を希望する場合には、その分の金額が上乗せされることが殆どです。
また、昔は故人の本名や戒名が墓石の正面に刻まれることが広く行われていたのですが、現代では一基に複数の遺骨を納める墳墓が大半を占めていることもあって、家名のみの彫刻が一般的です。
家名の後に、先祖代々之墓または累代々之墓等と彫刻される場合も以前はみられたものの、文字数が多くなる影響から全体的な文字の大きさも小さくなってしまうとのことで、減少傾向にあります。
誰が入るかという観点でお墓を見ると家墓や夫婦墓、個人墓や両家墓、他にも永代供養墓に共同墓という区分けができます。
もっとも多い形式は家墓で、先祖をまつり子孫へと引き継がれていくお墓です。
墓石に刻む文字は特に決まりはないですが、一般に家墓の場合、正面には家、家代々、家累代という文字が名字と共に刻まれています。
和型墓石でよく使われる書体は楷書体や行書体などです。
石材店にはたいてい見本がおいてありますので、その中から選ぶこともできますし、知人やお気に入りの書家に依頼して書いてもらった文字を刻むこともあります。
また、自分で書いた文字を彫ってくれるサービスを行っている石材店もあり、生前にお墓を建てるのであれば、オリジナルな墓碑銘を刻むことも可能です。
何か特別なルールがあるというものではなく、近年では文字に色を入れないことも多くなっています。
白い石で文字が見えにくいときには黒や濃紺の色を入れたり、寿陵の文字には生きている証として朱色をいれたりすることもあるのです。